1890年、郵便や通信を管轄する逓信省が、東京市内と横浜市内の間で電話サービスが始まりました。お互いの街に電話をしたい人がいる場合、交換手の人に手動でつないでもらうことを依頼して、相手と話ができるようになるというのが始まりでした。そのころの電話機は受話器を上げるだけで交換手に通じたのでダイヤルなどは不要でした。その後電話を利用する人たちが増えたのでサービスの範囲が拡大され、交換手だけでは追い付かなくなり、1926年ごろから自動交換機が使われるようになりました。
自動交換機は交換手を介せずに電話番号を使って自動的に相手につながる仕組みだったので、ダイヤルの付いた電話機が誕生することになります。自動交換機を使った初期のころは、ダイヤルで回した番号が順に接続していき最後の番号までつながれば相手の電話とつながるという「ステップバイステップ」という方式のものでした。
しかし番号には限りがあるので、各市ごとに局番が決められ、その局番に各固定電話の番号を合わせた番号を使うのですが、ステップバイステップ方式では市外にかけるにはいくつもの自動交換機を経由する必要で時間もコストもかかったため、1955年に「クロスバ交換機」が導入されました。それは縦と横にクロスされたバーを設置し、電磁石の磁力によってバー同士が接触することで相手に通じるというものでした。その方式が全国に広まり各家庭に電話を置く時代となりました。その後1982年にはデジタル交換機の導入で、音声や制御信号がすべてデジタル化されクリアで聞きやすい音声になったことでますます利用者は増えていったのです。
そして2004年に、NTTはひかり電話サービスを開始しました。ひかり電話のしくみとしては、インターネットで使われる機器を利用したもので、SIPサーバーが電話番号を管理し、ルーターが音声データを適切な回線に振り分けます。もともと使われていたインターネット回線と電話回線は全く別のものですが、どちらも屋外から室内に引き込んでいます。インターネット回線である光ファイバーは光回線終端装置に接続し、LANケーブルでパソコンなどのネットワーク機器に接続するのですが、電話回線も同じ光回線終端装置に接続することで光ファイバー網を使ったひかり電話として使えます。そのためひかり電話を使えるのはインターネット回線がある場合に限られてきます。
このようにひかり電話のメリットは、電話加入権がなくてもよいということや電話の基本料金や通話料がずいぶん安くなるということ、電話番号を変えなくてもそのまま使える、または新たに変えても加入権は不要ということなどです。ひかり電話の料金についてなぜ安くなるのかというと、従来の固定電話は遠いところにかけるといくつもの交換局を通らなければいけないのでその分料金がかかるのですが、ひかり電話の場合、声をパケットというものに変えることで交換局を通らなくても通話ができるからです。パケットとはインターネットでデータをやり取りする時の基本単位で、小さな単位に分割することで多量のデータの占領を防ぎ公平にやり取りすることができるようになっています。
NTTのひかり電話サービスには、月額500円という料金の基本的なひかり電話のほかに「ひかり電話エース」というプランもあります。ひかり電話エースというのは月額1,500円のプランで、基本的な通話サービスのほかにナンバーディスプレイ、ナンバーリクエスト、キャッチホン、ボイスワープ、迷惑電話お断りサービス、着信お知らせサービスという6つのサービスと、最大3時間の通話相当分480円が含まれています。余った分は1か月繰り越すこともでき、480円分の通話料金を超過した場合には3分8円の通話料金が加算されます。
ひかり電話エースには個人用と法人用があり、法人用の場合は「ひかり電話オフィスエース」というプランで、1チャンネルの基本機能に299チャンネルまでの追加機能ができ最大300チャンネルまで利用できるサービスや最大7,000番号までつけられるサービス、着信お知らせメール機能、一括転送機能、故障・回復通知機能、グループダイヤリング機能が付加されたプランとなります。他にも通信コストの削減と通信システムの効率化が図れる事業所向けの「ひかり電話オフィスタイプ」というプランやセンター拠点向けの大容量多チャンネルの帯域確保型通信でビジネスのサポートをする「ひかり電話ナンバーゲート」があります。
ひかり電話オフィスタイプは月額料金は1,300円からで3チャンネルの契約で加入電話と比べてお得で、ひかり電話ナンバーゲートは多地点でテレビ電話会議をする場合や短時間通信が多く通信コストがかかる場合などほかの事業所や一般ユーザーの影響を受けずに安定したテレビ会議ができたり、最大200チャンネルの同時接続が可能なので通信コストの削減が期待できるプランです。