日本は地震大国であり、今、この瞬間にでもどこかで巨大地震が起きても不思議ではないと言われています。また将来的には広範囲にわたり甚大な被害をもたらす巨大地震が発生することが確実視されていることから、官民一体となってその被害を軽減させるための取り組みが積極的に行われています。
緊急地震速報もそうした取り組みのひとつです。緊急地震速報で利用されるのは地震発生のメカニズムです。地震が発生した際には、伝播速度、すなわち伝わるまでの速度は速いけれど初期微動であるP波と、伝播速度は遅いが揺れのエネルギーは大きいS波の2種類が発生します。緊急地震速報は、この内、P波を察知することで地震の発生をとらえ、P波の後にくるS波に備えることを警告するシステムです。
これが送信されるのは、主にはS波によって大きな揺れが想定される地域です。P波の後に来るS波、その強い揺れに少しでも備えるよう、これが送信され、それによって少しでも被害が軽減されることが緊急地震速報の目的です。
特に交通網や発電所などの、強い揺れにより大規模な混乱が予想されるような場所や機関などには、こうしたことへの効果が期待できます。ただし緊急地震速報にはまだまだ改善の余地があります。
たとえばP波の後にS波が来るとは言っても、そのラグは非常に短い時間であることから、緊急地震速報が出された瞬間に揺れが起きていてもおかしくはないと言う点です。また現状、正確性や精密性には欠けるために、全く関係のない地域に緊急地震速報が出されたり、強い揺れが来ると言う警報でありながら、非常に小さな揺れであったと言うケースも実際に発生しています。
更に携帯やスマホなどにこれは送られるのですが、個人のそれらの設定によっては受信したことに気がつかず役に立たないと言うこともあります。ただ地震への備え、心構えができると言う点においては、有益であることにかわりはないので、今後はその正確性、精密性を上げることが課題です。