地域IP網はNTTが電話局ネットワークで構築した都県単位レベルのIPネットワークです。インターネットは世界中から使える公衆ネットワークですが、これは閉鎖されたネットワークなので全く別ものです。
10年くらい前にNTTは次世代のインターネットとしてNGNという構想を打ち出し、操作して最適化できる閉鎖的なインターネットを作ろうとしていましたが、閉鎖的という意味では同じ部類になります。NGNは一部の層から喜ばれていましたが、インターネットの本来の思想であるいつでもどこでも誰でも使えるという平等からかけ離れてしまうという欠点が致命傷になり、いつの間にか消えてしまった状況です。
地域IP網はインターネットとは全く別のものではありますが、インターネットへのアクセス回線の一部として全国各地で使われています。一般的な例ですと、自宅に無線LANルーターが設置されていてそこにパソコンやスマートフォンを繋いでインターネットを利用します。
一方で、無線LANルーターには光回線やADSL事業者からラストワンマイルとなる足回り回線を引き込んでいます。これらは電話局のような事業者の設置場所まで引かれていて、そこから地域IP網を経由して契約したプロバイダの最寄りのアクセスサーバーへ接続し、そこから晴れてインターネットへ出ていきます。
閉鎖的なのに、なぜ通れるのか疑問に思われるかもしれませんが、地域IP 網には物理的な経路を借りて、その上にVPNを張って通過しただけなので、問題なく通れます。VPNは自宅の無線LANルーターからプロバイダのアクセスサーバーまでの区間で張ります。そうすると、自宅の無線LANルーターはあたかも直接アクセスサーバーに接続されているかのような環境ができます。よく会社の仕事を自宅で行っていることを聞きますが、これはVPNで自宅と会社側のVPNサーバーが接続できているからです。あらかじめユーザー登録が必要なのはVPNサーバーへの認証登録なのです。