WANとはwide area networkの略で、広域ネットワークという意味です。これはLANつまりlocal area networkと対比させる形で用いられることが多い用語です。LANが一つの拠点内、例えば一つのオフィス、工場などでのネットワークであるのに対して、WANは複数のLANどうしをつなぐようなネットワークのイメージです。
LANについては、基本的にはそれを使う自分たちで整備し、自分たちで運用できますし、またそのように運用されることが普通です。ところがWANの場合はまずこのようなことはできません。東京のオフィスと大阪のオフィスをつなぐネットワーク網を自分たちで構築し運用するなど、一般の事業者には容易にできることではないことはすぐに分かるでしょう。
ですが、だからと言って放置するようなことはできません。複数の拠点を持つ会社の場合、それらをしっかりと結び付けることがビジネス上は欠かせません。
最初のうちは、専用線と呼ばれるその企業独自のケーブルなどを敷設するようなケースもありましたが、莫大な費用がかかってしまいます。そこで、必然的に通信事業者に頼ることになります。通信事業者は通信のためのネットワークを構築することが仕事ですから、既に多くのネットワークが作られており、必要に応じて自分たちが求めるサービス内容に見合ったものを利用することができるわけです。
なお、WANという用語はインターネットと同じような意味で使われることもありますが、本来は別の意味でしょう。あくまでもLAN同士をつなぐ回線を指すというイメージです。それに、インターネットという言葉はもはやあまりにも有名になり過ぎているくらいで誰もがそれなりのイメージを持っています。その中で、WANはインターネットと同じような意味ですと言われても、あまり聞いたこともない用語のため、かえって何のことか分かりにくいということになってしまうでしょう。