INSネットはNTTの商標で、ISDNの技術を使用して提供される電気通信サービスです。このサービスには、2本のBチャンネルと1本のDチャンネルを電話用2本で重層転送するINSネット64などがあります。
前者は64kbpsが2本という構成で、後者は16kbpsが1本ですから、現在主流の光ファイバーからすると低速です。
しかし1988年から商用で提供されてきた実績があるので、長く親しまれているサービスだといえるでしょう。
2000年代に入ると、電気通信事業者のサービスも開始していますから、本当に幅広い用途に活用されていると考えられます。上位のINSネット1500に至っては、1回線を23回線に分けられることから、ダイヤルアップ接続用のアクセスポイントに活用されました。
INSネットが本格的に普及し始めたのは、1995年に安価なターミナルアダプターが発売されたのが切っ掛けです。翌年の1996年以降も、相次いで低価格ターミナルアダプターが発売されたことで、一気に導入のハードルが低くなっています。
更に、深夜時間帯の通話料が定額になるテレホーダイの登場で、夜間のインターネット通信が普及することになるわけです。これまで、定額制の通信サービスは一般的ではありませんでしたから、テレホーダイの登場と、それを支えたINSネットの意味は大きいといえます。
ADSLの誕生や普及と、光回線が一般的になるまでの間、テレホーダイは多くの人達のインターネット利用を支えています。
INSネットは、005年に約700万回線という普及を見せており、特に企業などではインターネットと電話が使える、ISDN回線が人気となって普及しました。ただ2015年には半数以下の約250万回線と、大幅な減少を見せることになります。
これは高速なインターネット回線の登場や、低料金化が進んで一気に普及、乗り換えが発生したのが理由だと思われます。
現在でもまだINSネットを使用しているケースはありますが、NTTは乗り換えを促進していて、長年活用されてきたサービスもいよいよ終了間近と見られています。フレッツ光が提供される地域における、フレッツISDNの新規受付は、2018年11月30日に終了と終了時期が迫ります。
仮に移行が間に合わない場合は、2024年の初頭を目処に、ISDN相当のメタルIP電話に相当するサービスと共に、加入者が解約しない限り自動移行する予定です。