FMC

FMCとは、Fixed and Mobile Convergence(固定と携帯の融合)の略で、携帯電話やPHSを家庭の固定電話の子機や企業の内線機としても利用することができるサービスで、主に主要携帯キャリアが提供しています。

FMCには四種類の定義があります。
一つ目は固定電話と携帯電話の請求書が一本化されて送付されることです。問い合わせ窓口が一本化され、請求額の割引が受けられる場合もあります。
二つ目が固定電話と携帯電話の申し込みがワンストップで行えることです。窓口の一本化という意味では一つ目とほぼ同じかもしれません。
三つ目が固定電話の子機や内線機能と携帯電話としての機能を一台の端末に集約させることです。別の呼び方では「モバイルセントレックス」という名称もあります。
四つ目が固定回線と携帯回線の自動切換です。固定回線網が利用できる場所では無線電話として、それ以外の場合は携帯回線を使用する携帯電話としてシームレスな切換えが行えます。

家庭の固定電話と携帯電話でも利用も可能ですが、普及が進んでいるのは企業の内線と携帯の集約、いわゆるモバイルセントレックスでしょう。

初期に提供されたモバイルセントレックスサービスにNTTドコモの「パッセージデュプレ」があります。これは社内の無線が届く範囲にいる場合は無線電話として、無線が圏外の場合は携帯電話として使用する仕組みになります。
パッセージデュプレは無線/FOMAの両方の通信が可能な特定の携帯端末が必要な他、相手が社外にいる場合には内線番号での通話は行えませんでした。
また端末側の無線電話の設定が必要など運用面でもやや難易度が高いというのもデメリットと言えます。

これに対して新しいサービスである「オフィスリンク」は内線番号を設定した端末は社内・社外を問わず内線番号での通話が可能になりました。これを「内線ワンナンバー機能」と呼びます。
他社の同様のサービスにはauの「ビジネスコールダイレクト」とソフトバンクの「ホワイトオフィス」があります。
内線通話は定額であるため、利用方法によっては通信費の削減を図ることが可能です。

また内線番号の紐づけなどはカスタマーコントロールで制御可能で、端末側の操作は基本的に不要になります。
無線電話としてではなく、モバイル網からIP電話網を経由して社内へ入る、という経路で通信を行うため、対象機種を選ばないのもメリットです。

固定機で内線を構築している場合、既に社内にPBX(構内交換機)が設置されていることが考えられますが、キャリアの仕様に適合していればそのまま使うことができます。

つまり携帯端末やPBXなどの機器を新たに導入しなくても内線ワンナンバーが実現できるのがFMCの特徴であり、導入の最大のメリットと言えます。

とはいえどんなサービスにもデメリットや制限事項は存在します。

これらのサービスにはPBXとIP電話網に接続するアクセス回線が必要である他、対象にできる携帯電話は全てモバイルセントレックスサービスを提供しているキャリアと同一名義で契約しているものに限ることになります。

また標準機能では携帯電話からPBXを経由して外線発信を行うことができません。
パッセージデュプレの場合は電話番号の先頭に0を付けることで携帯電話から電話をかけても、相手に表示される電話番号を事務所の固定電話にすることができます。

既に社内で利用している携帯電話のキャリアが統一されていたり、外線発信時の表示番号にこだわりがなければ、FMC導入のデメリットは少なく、比較的容易に導入することができ、且つ大きな効果を生むことができるサービスであるといえます。

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