輻輳

輻輳とは、あちこちからモノが一つの場所に集まってきて混雑することを指す言葉で、ここから情報通信の世界では特定の場所にアクセスが集中することで正常な通信が困難になる現象を指す言葉として使用されています。英語表現にする場合は、混雑を意味するcongestionという語があてられます。

輻輳が起きるケースは様々あります。例えば、地震や津波、台風などといった大きな被害が出る可能性が非常に高い自然災害がおこったときには、被災した地域にいる親戚や友人、職場の同僚などに対して安否確認を目的とした電話やメールが殺到し、電話が非常に繋がりにくくなる事象や、メールが送信できなかったり、受信のタイミングが異常に遅くなる現象が起きます。各電話会社では、被災地域への電話やメールは控えるように呼びかけるとともに、一般の顧客の回線を対象とした通信制限の実施、災害用の伝言サービスの稼働などの対策によって輻輳の制御および回避を試みます。

また、12月31日から1月1日に変わる前後の数時間は、電話やメール、SNSなどさまざまな用途で、新年のあいさつをする人が多数発生する関係で、電話とインターネットの両方の回線で輻輳が発生します。こちらの場合も各通信会社では、自粛を呼びかけるとともに、通信制限を行うなどの対応をとっています。

一方、集客が見込まれるコンサートやスポーツ大会では、前売りチケットの販売が始まる時間の前後に専用ダイヤルに電話が殺到したり、専用のサーバーにアクセスが集中することがしばしばありますが、混雑はわずかな時間で終了するため、通信会社側で輻輳を回避する措置が実施されることはほとんどありません。

輻輳の現象は、大型連休や年末年始におきる交通渋滞をイメージするとわかりやすいです。輻輳は長期化すればするほど顧客への影響が大きくなるため、情報通信技術を扱う会社ではこれを回避するための技術開発や研究がすすめられています。

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