SIP
SIPはシグナリングプロトコルで、ホスト間の調整を何でもしてくれる機能です。
IP電話やインターネット電話では、このSIPプロトコルが使われていて、掛ける側が相手先を呼び出して、電話特有の音声を互いに出しあったり、音声のやり取りのスムーズな通信のための事前準備等を行います。実際の音声通信には関与しませんが、もちろん電話を切る処理もきちんとターミネートします。
企業等では支店への出張は、出張費用が浮くため、今や場所への移動なしに電子会議システムを利用する企業もあるでしょう。このような電子会議システムでも、呼び出し側から呼び出される側への招待はSIPプロトコルが使われます。この場合、ネットワークはインターネットではなく企業独自のネットワークが使用されるため、SIPサーバーも独自に準備して動作させますが、接続は1対1だけではなく1対多数ができますので、これまで会議室で多人数で行っていた打ち合わせには画期的なシステムです。
10年くらい前にインターネットがいろんな意味で枯渇状態に陥りました。IPアドレスもそうですが、接続機器の激増に伴い、トラフィックの爆発的な増加が一番のネックでした。そこで、NTTはインターネットに類似していて操作可能な閉鎖的な独自ネットワークの構築構想を打ち出します。要するに、使える人を限定して、使うときには有料で必要なトラフィックを保証した安定した通信を実現しようしたのです。
一見、良さそうな構想ではありますが、インターネットレベルのネットワークが世界で2つ存在することになったり、有料だったりと少し考えるとおかしいことに気がつきます。もともと、インターネットは無料でお金がなくても誰もが平等の元に存在し、権力や圧力とは無縁であることが思想で考えられていたにもかかわらず、それに逆こうしたネットワークが登場しようとしていたのです。これはNGN構想で実現にはSIPプロトコルが深く関わっています。