TD-SCDMA
TD-SCDMAとはTime Division-Code Division Multiple Accessの略で、日本語では時分割複信-符号分割多元接続と呼ばれている無線通信方式です。
一般的な周波数分割複信FDDでは上りと下りに周波数を割り当てて、仕切りとなるガードバンドを設定しています。それに対し、TD-SCDMAの時分割複信TDDではひとつの周波数に上りと下りの両方を収容することが可能で電波の利用効率が高くなるのに加えて、上りと下りで通信速度を非対称にすることが可能なことからデータ通信を効率的に行えると言うメリットがあります。
また、無線局間の出力の調整が容易なことから移動局間の電波干渉を少なくすることも可能です。
当初のTD-SCDMAは日本でデータ通信に特化して開発され音声をVoIPで送受信する形式でした。ですが、国際電気通信連合ITUが2000年を目処に策定した第3世代携帯電話の規格であるITU-2000には承認されず、独自の規格として発展していきました。
中国やドイツでは2009年頃に実用化され、後のTD-LTEの基礎となったと言われています。
日本国内では2005年9月にアイピーモバイルがTD-SCDMAの前身である2.0GHz帯のTD-CDMAを使用したデータ通信サービスへの参入を表明し、2007年から2008年に一部地域でサービスの提供を開始を予定していました。しかし、度重なる延期の後、残念ながら2007年に自己破産を申請しました。
ソフトバンクグループのBBモバイルではTD-CDMA、イーモバイルではTD-SCDMAを利用した携帯電話に参入を表明していましたが、当時BBモバイルがボーダフォン日本法人を子会社化したのを期にTD-CDMAとTD-SCDMAの免許を返上し、イーモバイルはW-CDMAへの変更を表明しました。これにより、日本国内でのTD-SCDMAの本格的な実用化は幻となりました。