半二重

双方向通信における通信方式には、半二重と全二重の2つの方式があります。
両者の違いですが、半二重の特徴は送信と受信を分離して交互に行う事です。一方が送信を行っている際にはもう一方を受信に固定し、適宜伝送方向を切り替える事によって双方向性を実現するものとなります。全二重は2つの独立した通信路を用意して、双方からの送信・受信を常に行えるようにしたものです。
一見すると全二重の方が伝送方向の切り替えが無い事により、スムーズ且つ大容量の通信が行い易いように思えます。ところが実際の通信においては、半二重の採用例が多くなっていると言えます。その理由には、以下のような事情があります。

まず全二重においては、送受信を行う何らかの通信経路を同時に2本用意しなければなりません。仮に物理的なケーブルで繋ぐ場合、ケーブル自体が2本必要となります。距離が非常に長くなるようなケースにおいては、設置や維持管理の手間・費用の観点からケーブルが1本で済む半二重の方が有利となるケースが考えられます。
更に無線通信を行う場合、よりはっきりと両者の違いが現れます。

例えばトランシーバーを使った音声通信を行う場合、同じ周波数で同時に送信を行った段階で混信が起きて、正しい通信が行われなくなります。
これを全二重で避ける為には周波数を2つ用意すれば良い訳ですが、周波数は限られた範囲でしか使用出来ない性質があるので使用許可の問題が出て来ます。
また、機器についても異なる周波数への同時対応を要する事になります。半二重であれば、手元での送信・受信の切り替えで対応する事が出来ます。
更に使用周波数も1つで済む事によって、資源節約と他の利用者への干渉を減らす効果が得られます。

このように安定性の面からは半二重に軍配が上がるようなケースも見られる事から、伝送量やアプリケーションの性質に鑑みて、半二重で通信が行われる事例が多くなっているのです。

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